2025年10月31日公開。山田裕貴、佐藤二朗、渡部篤郎などが出演。監督は永井聡。原作は呉勝浩の推理小説『爆弾』。
佐藤二郎が久しぶりにおふざけナシの演技をしているようなので観に行こうかと思い行ってきました。
あらすじ
「霊感でわかります。これから3回、次は1時間後に爆発します」ーーー酔って逮捕された中年男、スズキタゴサクと名乗るその男が取調室でそういうと実際に秋葉原で爆発がある。男は、独特な世界観で刑事たちに次々と語りかけ、謎めいたクイズを出し、警察を心理戦で揺さぶっていく。東京の街を巻き込む爆破のタイムリミットが迫る中、緊迫した攻防が交錯する。
久しぶりにこういう佐藤二郎が見たかった
佐藤二郎といえば、勇者ヨシヒコの仏など、福田監督作品でのギャグキャラ的なイメージが定着しつつあるが、もちろんそれだけの俳優ではない。2007年の『わたしたちの教科書』では、中学校で女子中学生が転落死した事件の裁判で、涙ながらにいじめがあったことを認める教師役を演じている。2023年公開映画『あんのこと』では、薬物更生の自助グループを運営し更生に尽力しつつ、利用者への性加害容疑がかけられた刑事という複雑な役柄を演じている。
今作でも、一見冴えない雰囲気の中年男性でありながら、警察を翻弄する頭脳を持つ底知れない犯罪者という一言では言い表せない役を演じている。「社会の中で誰も僕を守ってくれなかったし、もうどうでもいいんですよね。でも霊感って言えば法律が守ってくれるんですよね?」みたいな、挑発的でシニカルな態度がすごくリアル。
特に、渡部篤郎演じるベテラン刑事の清宮とのやりとりはとてもいい。清宮は、真摯的な語りでタゴサクに接するが、爆破を阻止するという絶対的な正義が垣間見える。用意周到なタゴサクの計画に振り回されながらも、鋭い観察眼で冷静にタゴサクの心理を突いて一矢報いるような場面も。
もっと恐ろしく、もっと得体のしれない感じにしてほしかった
取調室で展開される佐藤二郎と渡部篤郎は目が離せない。とてもいい。映画の後半は事件解決の方に向かっていき、取調室の外での捜査の様子も描かれていく。進むにつれて、取調室の中で高まった得体のしれない恐怖や緊張感がなくなっていくのが少し残念。爆弾のシーンもしっかり作られていてグロテスクなんですが、最初の爆発だけにして、残りの爆発シーンはあえて描かない方が、観てる方が勝手に想像して怖かったかもしれない。
タゴサクの動機や経緯についても、ちょっと中途半端でわかったようなわからないような。どうせなら、動機も目的もよくわらかない方が、「警察を翻弄して社会秩序を淡々と破壊した中年男性」の気味の悪さがより観てる方にのしかかったかもしれないなと。
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