怒涛の2024年が終わろうとしている。
今年はオリンピックあり、選挙ありの、話題に事欠かない1年だったが、エンタメ業界も盛りだくさんな1年だった。というわけで昨年に引き続き、しゃべる図書館2024年ランキングを開催。記事にしようと思ってたけどできなかったあんなことやこんなことも含めて、今年心揺さぶられたものをランキング形式で振り返ります。
■こっとんの心動かされたランキング
第1位 断腸亭にちじょう/ガンプ
サンデーで不定期連載中の闘病漫画。作者のガンプさんのガン闘病をもとに描かれている。これまで読んだノンフィクション系漫画でいちばん。
頭の中で起きていることを絵にする力、発想に毎回驚く。ほのぼのとした絵でありながら、葛藤や苦しみによって見せられる幻想を、確かな画力で描き切っている。何のために描くのか、という作者の声が聴こえる。
第40話を読んだあとは、ズンっとおなかに何かが乗ったような気がした。
サンデーのアプリ、「サンデーうぇぶり」でも読める。
第2位 秋山歌謡祭2024
お笑いトリオ、ロバートの秋山竜次が自作曲を歌うだけの、約45分の歌謡祭。YouTubeで公開され、再生数はすでに360万回を超えている。おなじみの秋山ソング「トカクカ」の他にも、子ども番組の童謡や民族音楽を模したものまで、多彩な楽曲を楽しめる。
(私のお気に入りは、「メ~テレマッチング」のCM。)
年末には森永乳業のアイス、ピノと秋山歌謡祭がコラボした「ピノTV」が公開された。ピノのパッケージについているQRコードを読み込むと視聴できる。キャンペーンは2025年3月まで続くそうなので、アイス売り場で見かけたら購入すべし。
第3位 No No Girls
ラッパーでアーティストのちゃんみなをプロデューサーとしたオーディション番組。これまでにBE:FIRSTなどをデビューさせてきたBSMGという事務所の傘下で開催されている。
このオーディションは、ルックスや年齢は問われない。その人の声や生き方が何よりも重視される。これまでNoと言われてきた人たちの声を届けたいというコンセプトが、見ている私にもエネルギーを与えてくれた。
私の推しのひとりだったAMIは、歌唱力抜群、明るい性格、ずば抜けた表現力を持っている。評価の際ちゃんみなはAMIに「あなたはYes Yes Girlsだよ」と伝える。周りはAMIを肯定し絶賛しているけどAMIが自分でNoと言っている、AMIの人間的魅力をハンドリングできるだけのスキルを身に着けて欲しいというメッセージを送る。このシーンは、誉め言葉を素直に受け取れないすべてのアラサーに見てほしい。
ちゃんみなは、表現者として変化を恐れない人間を育てている。最終合格者は年が明けてからの発表なので、とても楽しみ。
第4位 劇場アニメ「ルックバック」/押山清高監督
劇場公開当時、好評であるとは聞いていたものの鑑賞の機会を逃していたので、Amazon Primeで配信が開始されてすぐに観た。涙は出なかったし、「感動した~!」というわけでもなかったが、観賞後ずっとなにかが残っている。
「誰かの想い」とか「秩序」とかはきっと、赤ちゃんみたいなものだ。何よりも大事にしようという社会規範があるように思うが、壊したいという悪意に対しては途方もなく無力だ。だから私たちは、教育や規範という武器で、悪意から必死にこの社会を守ろうとしている。
それでも悪意は堂々と侵略してくる。しかも悪意は、その悪意を持つ本人の意識さえも乗っ取る。どの段階なら、誰なら、止められるのだろうか。
佐伯紅緒さんのこの記事にも心打たれ、久しぶりにOasisを聴いたりしてしまったし、原作漫画も購入した。
第5位 叶姉妹のファビュラスワールド
今年も音声コンテンツが豊作だったが、なかでも私のお気に入りなのが、叶姉妹のファビュラスワールド。毎週火曜日にSpotifyで配信されている。この番組は2021年からあったそうだが、見つけるのが遅くなってしまった。
リスナーのお悩み相談が主な内容だが、時折挟まる「お聞きします」のコーナーも味わい深い。
この番組を聴くまでの私は、叶姉妹のゴージャス・セレブな印象は、所詮作られたものだろうと思い込んでいた。しかし、本当に「余裕」のある人でないと発せないようなアドバイスの連続に、贅沢な生き方とはなんだろうと考えさせられる。今となっては叶姉妹の懐事情に興味はなく、あらゆるストレスから解放されるための金言を浴びるためだけに聴いている。
■しーまんの心動かされたランキング
第1位 なし
第2位 シビル・ウォー アメリカ最後の日
アメリカ国内の内戦を戦場カメラマンの視点で描いた作品。内戦終盤からホワイトハウスの陥落までを描いているっぽいが、勢力図や政治状況などの詳細説明がないためよくわからない。あくまで、「もしアメリカで内戦が起きて戦場カメラマンだったら」というSFを見るという感じである。
“What kind of American are you?”(どの種類のアメリカ人だ?)というシーンが印象的。主人公たちがホワイトハウスに向けて移動する途中で、兵士らしき男とひと悶着するシーンである。この兵士らしき男は、銃を持ち、質問をして、気に食わない答えなら即座に殺す。政府軍なのか、反政府軍なのかもよくわからず、飛びぬけた気味の悪さを感じさせる。
このシーンから思い出すのは、『ルワンダの涙』などの他の内戦映画である。検問があり、銃を持った民兵に殺されかけるというシーンと重なる。内戦下で湧き出る人間の薄気味悪さが表れていた。
第3位 榛葉幹事長
イギリスの総選挙、東京都知事選、衆議院選挙、アメリカ大統領選、結構政治イベントが盛りだくさんだった2025年。衆議院選挙の前後から、国民民主党が巷をにぎわせるようになったが、その遥か前、正確には2023年8月頃から、ある会見をコンテンツとして時々みていた。それが、国民民主党の榛葉幹事長の定例記者会見の切り抜き動画である。
丁々発止というか軽妙というか、記者から意味不明な質問が出てきたりすることがあっても、感情も適度に出しながら応答していくのがつい見てしまうのである。
衆議院選挙で、候補者の当選速報を見て抱き合って喜ぶ姿も、少しぐっとくるものがある。
第4位 ボーイフレンド
https://www.netflix.com/jp/title/81685212
9名のゲイ男性が登場する恋愛リアリティショー。すでにこちらの記事で紹介しているが、心動かされるシーンとしては、ダンサーのユーサクの別れのシーン。このユーサクというのが、踊っているときはキレッキレだが、生活面ではわがままな子どものようで、体型維持のために毎日鶏肉を食べたいといって予算オーバーの鶏肉を買い、年下メンバーからお𠮟りを受ける。36歳でそれは、、、とつい思ってしまう。
そんなユーサクが別れの際に、想いを寄せるカズトに言葉を伝えたり、メンバーに絵を残したりと、おそらく話ベタなユーサクなりにいろいろと考えて表現している。その所作に、ユーサクもいろいろ乗り越えて生きてきたんじゃないだろうかと感じさせるものがある。
序盤はシュンというかまってちゃん全開ボーイのシーンが多く、離脱しそうになるが、乗り越えると面白くなってくる。
第5位 timelesz project -AUDITION-
https://www.netflix.com/jp/title/81901457
Sexy Zone、もといtimelesz。ケンティが抜けて、3人となってしまい、timeleszとしてリスタート、新メンバーを募集することになった。そのサバイバルオーディション番組がtimelesz project(略してタイプロ)である。
Sexy Zoneがtimeleszになったことも知らず、timeleszをタイムレッツと読んでしまうくらいに関心がなく、片手間に見始めた。しかし、途中からのめり込んでしまった。具体的には4次審査が始まるepisode 07。4次審査では、突如、ジャニーズ事務所の俳優部のメンバー3名が参加する。シード的な感じで現れて他のメンバーに刺激を与えていく。
episode 07は、課題曲がSexy Zone「Purple Rain」のチームを描いている。メンバーは、鈴木、西山、本多、北林、猪俣の5名に、俳優部の原嘉孝が加わった6人組。突如現れた原氏に、「おいおい、先輩風を吹かせてるんじゃないのかい」と思っていたが、同氏は年齢や経験が上である自身の立ち位置も理解したうえで、絶妙なリーダーシップを発揮し、クオリティを引き上げパフォーマンス本番は見入ってしまい、その後「Purple Rain」をループ再生して聞いてしまうくらいにインパクトがあった。
また、菊池風磨のクセのある名言格言もすでに話題になっている。2023年のランキング5位の「ABEMA 山本裕典ホストになる」で紹介したホストクラブをマネジメントする軍神こと心湊一希(みなと いつき)と通ずるところがある。
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