2025年9月26日公開。主演は大沢たかお。監督は吉野耕平。原作はかわぐちかいじの漫画『沈黙の艦隊』。2023年9月に映画『沈黙の艦隊』が公開され、その後、未公開シーンやその後のストーリーを追加した『沈黙の艦隊 シーズン1 〜東京湾大海戦〜』がアマプラで全8話て配信。今回の映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』はその続編。
原作は読んでいないが、アマプラのドラマが面白かったので観に行ってきました。
あらすじ
国家として独立宣言した原子力潜水艦〈やまと〉は、東京湾の戦い後、国連総会出席のためニューヨークを目指す。北極海の入り口、ベーリング海峡でアメリカ大統領ベネットが送り込んだ最新鋭潜水艦〈アレキサンダー〉戦いを繰り広げる。時を同じくして、日本では〈やまと〉支持を表明した竹上首相が、衆議院総選挙で国民の審判を受けることとなる。
主人公はほとんど動かない潜水艦アクション映画
前作アマプラでもそうなのだが、大沢たかお演じる〈やまと〉艦長の海江田は、基本的に潜水艦の指令室みたいなところで指揮を執るだけであまり動かない。そういう意味では地味。ただ、そのあたりがリアルでいい。
艦長だけでなく、潜水艦の乗組員の役割も細かく描かれていて面白い。水中音を探知するソナーマンや、外部交信を行う通信士、魚雷を打つ魚雷長など、「やまとの能力を限界まで解き放つ」という海江田艦長のミッションを遂行するプロフェッショナルたちの物語。こういうの好きです。
戦闘シーンは人間は座ってるだけなのだが、水中で魚雷をかわしたり、周囲の環境を使って航行不能にさせたりと、潜水艦バトルという意味では見応えがある。海江田は操艦術だけではなく敵艦艦長の心理も読む心理戦にも強く、海の怪物的な不気味さがでている。アップトリム、ベントとか、アスロックミサイルとか、よくわからない専門用語もたくさん出てきて説明もないのだが、それはそれで面白い。
「やまと保険」という平和の枠組み
ここからややネタバレになるのだが、前作から海江田は、沈むことのない原子力潜水艦〈やまと〉を中心とした超国家的軍事組織をつくることで世界平和を実現すると主張している。アメリカなどの大国は、核兵器を背景に自国の利益を優先していると批判し、〈やまと〉を独立した国家として存在させることで、大国の核兵器による世界の秩序を問い直している。
今回の映画では、海江田の主張に便乗して、「武器や兵器が完全になくなった世界」を主張する政治家・大滝(演・津田健次郎)が現れる。彼が提示したのが「やまと保険」という謎の仕組み。映画の中ではざっくりしか説明されないのだがたぶんこういうこと。
- 日本を含む各国は原子力潜水艦〈やまと〉に保険をかける。
- 〈やまと〉が存続する限り各国は配当金を受け取ることができる。
- 有事の際には、国際連合が保険金を受け取る。
- やまとを攻撃しない方が各国にとって利益になる、平和だと儲かるという構造を作り出す。
何を言っているんだ、というかんじもありますが、面白い提案だなと。
政治家の姿
映画の中ではやまととの対話を示す竹上首相(演・笹野高史)が国会を解散して選挙になる。選挙のシーンはあんまり細かく描かれなかったのだが、各党党首がテレビ番組で討論するシーンがある。世界平和がテーマとなり、一つの質問が提示される。
あなたは10人乗りのボートに乗っていて、そのリーダーです。乗っている人の1人が伝染病になったことがわかりました。あなたはどうしますか?
多数決でどうするか決める、全員で助かる方法を考え続ける、その一人を下ろすという判断をする、など各党の党首がそれぞれ意見を述べます。
その質問に、正しい答えなどない。ただ、正しさと正しさがぶつかりあう政治において、そういった極限状態にどれだけ真正面に向き合うのかという姿勢が重要なんだろうなと。
ちょうど、2025年9月現在、自民党総裁選が行われています。同じ質問をぶつけてみたらいいのでは、と。
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