「骨太の方針」というのをご存じだろうか。毎年政府が出している「こんな感じで経済頑張ります」的なペーパー。60ページ弱。どうせ読んでもつまらないんだろうな、と誰もが思うかもしれない。そんなことはない。
何を言っているかよくわからなくて、面白いのである。我が国の政府・官僚の皆さんが練りに練り上げた「骨太構文」なるものがそこにはあるのだ。
一度読んでもわからない「骨太」の魅力
早速、骨太の方針(2024)の少子化対策・子ども政策の記載部分を見ていこう。

出典:骨太の方針P45
まず、2度は読む(笑)。5行しかないけど。
「こども未来戦略」「こども大綱」「こどもまんなか実行計画2024」に基づき何かをやるんだと。
戦略、大綱、計画は何が違うのだ?白って200色あんねん的な感じで実はいろいろ違うのか?
一応「こども大綱」にも触れられているところもあるので見てみた。

出典:同P46
うん。ちょっとリストアップしようかな。
- はじめの100 か月の育ちビジョン
- こどもの居場所づくりに関する指針
- 新子育て安心プラン
- プレコンセプションケアについての5か年戦略
- こども性暴力防止法
- 「生命(いのち)の安全教育」
- 加害者更生に向けた取組
- 性嗜好障害に対する治療を含めたこども性暴力防止に向けた総合的な対策
- こどもの安全対策
- 産後ケア事業
- 新生児マススクリーニング
- 新生児聴覚検査
- 乳幼児健診
- 入院中のこどもの家族の環境整備の取組等の充実
- 不妊症、不育症に関する相談支援
ビジョン、指針、プラン…やっぱり200色あるのか。
逆に政府は何をやらないのか教えてくれない。
どうですか、そろそろみなさんも「骨太構文」の面白さと深さがわかってきたでしょう。
ちなみに、EBPMという言葉もだいぶごり押しされており、3ページに1回くらいお見かけする。なんなら、EBPMについて語られている章もある。

出典:同P51
2行目あたり、
「政策立案段階からのEBPMの設計を行うことや、予算・データ・人材・ノウハウの不足などEBPM推進の阻害要因を克服し、EBPMに的確に取り組む動機付けをすることが重要である」
早口言葉でもやっとんのか。
EBPM早口言葉か。
EBPMとは、「根拠に基づく政策立案」って意味で、効果的なことをやろうねってことです。
「骨太構文」はこうやってつくる
1.戦略に基づく、計画を踏まえる
白って200色あるように、政府も多種多様な計画をつくっている。戦略、ビジョン、計画、プラン、大綱、構想、ロードマップ、パッケージなど、数限りない。ともかく計画が重要である。物事はすべからく、戦略に基づくべきであり、計画を踏まえるべきなのである。
2.基本的に「推進」しよう
我が国の政府の重要な役割とは何か。決定することも、実現することも重要である。だがそれ以上に重要なのは推進することなのである。物事は推進しなければならないのである。
3.必ず1ページに1度はローマ字を使おう
漢字とは時に人々に堅い印象を与えてしまう。わかりやすく伝えるためには、外国語も積極的に取り入れる必要がある。DX、PB、PDCA、EBPM、5Gなど、一般の方が日常で使うような言葉もしっかり取り入れていく。
4.具体的な納期・期日は明言してはいけません
「いつまでになにをやるのか」というのはとても難しいことです。想定外のことが次々と起こる現代社会の中で、具体的な期日を発表していくことは必ずしも国民の利益にはならず、むしろ不安になってしまうので注意が必要である。
5.一つの文章でなるべく多くのことを言おう
世の中は複雑である。その中で政府として正しい情報を伝えるためには、十分な情報を盛り込んでいくことが重要である。○○であるほか、○○とともに、といった言葉によって情報を加えていけばいくほど、安心安全な表現にすることができる。
次回、実際に「骨太構文」を活用して、指針をつくってみるとしましょう。
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